某所、散歩中──。
???「喫茶店『緑飴(ミドリアメ)』……独特な名前だ。扉に貼り紙あるな、えっと……」
???「へー、音楽喫茶店かあ。それにしても【おそらく】【人によっては】って……迎え入れる気はあるのかな。で、次の行は……」
???「……変な店。入らなくていっか──」
???「お! キミ、この喫茶店に興味があるのか?」
???「(個性の強そうな人が現れたな……)えーっと、このお店の人ですか?」
???「その通り! ところで、人が居なくて困ってるんだ! 良かったら入ってくれないか?」
???「あのー、この貼り紙だとそりゃあ入らない──」
???「良いから良いから! 私が無理矢理店に入れるんだ、コーヒーはタダで良いぞ!」
???「ああいや、そういう問題では──」
喫茶「緑飴」店内──。
???「(ちょっとごちゃごちゃした店内だな……)」
???「自己紹介がまだだったな。私は緑飴の店主、沙魚川 未虎(はぜかわ みとら)だ!」
年齢:25 / 性別:女 / 身長:142cm

喫茶店『緑飴』の経営者。そこそこ横柄。
???「はあ、未虎と言うんですね」
ミトラ「個性的な名前だろう? でもこれは本名だ! AION(アイオン)の『MITHRAS』から来ていると予想しているが、真相は不明だ!」
???「あの音質がよろしくないという噂のアルバム……」
ミトラ「ちなみに私はあのアルバムは持ってないぞ。入手困難だからな! ところでお客さん、差し支えなければで構わないが、名前は?」
???「『いおぎ』と言うんですが、えーっと漢字で書くと……そうだ、このマイナンバーカードを見てください」
ミトラ「お、それは助かるな。なるほど、五百の木と書いて『いおぎ』か。下の名前は『とうふ』だな」
???「『ふゆか』ですよ。一発では読めない名前なのは確かですけど」
年齢:22 / 性別:女 / 身長:157cm

無理矢理入店させられた人。そこそこ暇人。
ミトラ「ハハ、悪い悪い。由来は一世風靡セピアのメンバーから来てるのだろうな」
フユカ「いえ、違います。確かに松村冬風(まつむらふゆかぜ)さんと漢字同じですけどね」
ミトラ「そうかそうか。ところで五百木は音楽を聴くのか?」
フユカ「聴きますよ。未虎さんと同じく偏ってると思いますが」
ミトラ「ほー。偏ってると言うと、東京X-RAY*1とか?」
フユカ「音源ありましたっけ? 定リオさんとRANさん(松川敏也)が昔やってたバンドは知ってる人少ない気がしますが……」
ミトラ「おお、詳しいな! 私と話が合うかもな! そうだ、コーヒーを淹れよう。こだわりとかあるか?」
フユカ「じゃあ、エスプレッソで……。音楽好きがおそらく楽しめる喫茶だけあって、棚にCDが並んでますね」
ミトラ「ホントは昔もっとあったんだけど、ワケあってそこそこ手放してしまってな。今は反省して集め直している」
フユカ「何やってるんですか……。こういったコンセプトのお店と言うとレコードのイメージがありますが、レコードは興味ないんですか?」
ミトラ「再生環境が無いのと収納スペースが無いんだ。レコードを嗜む人は素敵だと思うけどな! さて、エスプレッソができたぞ」
フユカ「そうですか……あ、いただきます。ところで、喫茶店をやろうと思ったキッカケは?」
ミトラ「喫茶店で音楽を語らうって素敵じゃないか? それをやってみたかったんだ。憧れって言うのかな、コーヒートークって分かるか?」
フユカ「あー、あのゲームですか。雰囲気は確かに良いですよね。でもあのゲームって、雨降りの深夜にピアノ音楽をバックに人間と異種族と会話する、という内容ですよね」
ミトラ「そうだ、あの雰囲気が好きなんだ」
フユカ「でもいま夕方で天候良くて、ANTHEM(アンセム)がシャッフル再生で流れてるんですけど……」
ミトラ「深夜は寝たいし、仕方ないだろ。雨は頻繁に降らないしな」
フユカ「ああ、はい……それと気になったのですが、白衣を着用しているんですね」
ミトラ「これか。喫茶店というと仕事着があるだろ? エプロンだと似合わないかなと思って、それで白衣にしたんだ。でも間違って研究者っぽい白衣を買ってしまったんだがな」
フユカ「白衣ってコックシャツのことですかね。未虎さんが着ているのは理系の白衣なので、違いますね……でも似合ってますよ」
ミトラ「そうか、だったら良かった! 大枚はたいて買ったからどうしようかと思ったぞ、ハハハ!」
フユカ「見た目は『日常』のはかせみたいだなって思いましたね。あるいは『ぱにぽに』のベッキーかな。あと、店名の『緑飴』の由来は何ですか?」
ミトラ「RHAPSODY(現・RHAPSODY OF FIRE)の"EMERALD SWORD"に倣ってエメラルドにしようと思ってたんだが、それだと捻りがないなと思ってな。だったらエメラルドって緑色の飴玉っぽいから『緑飴』にしたんだ!」
フユカ「随分雑な決め方をしたんですね……"EMERALD SWORD"は言わずと知れた名曲ですけど。それにしても、意外と言ったら失礼ですが……エスプレッソ美味しいですね」
ミトラ「お、初めて褒められた! 料理とコーヒー淹れには自信があるからな!」
フユカ「へぇ、料理も気になりますね」
ミトラ「ところで五百木、ANTHEMも知ってるんだな」
フユカ「ANTHEM好きですよ、最新作は全部英語なのがちょっと残念ですが」
ミトラ「なんだ、英語を唄うANTHEMはより硬派なメタルと化してカッコイイではないか」
フユカ「それは間違いないんですけど、あの日本語詞が良かったからなぁ……あ、エスプレッソごちそうさまです。本当にお代いいんですか?」
ミトラ「ああ、今回だけお代は要らんぞ。無理矢理連れてきたんだからな」
フユカ「強引に連れてこられたとは言え……意外と未虎さんと話が合いそうなので、また来ますよ」
ミトラ「おお、ホントか!? それは感激だ! 私も楽しかったから、改めてよろしくな!」
*1:湯浅晋さんのX-RAYとは別のバンド