登場人物
年齢:25 / 性別:女 / 身長:142cm

喫茶店『緑飴』の経営者。「樹威」という漢字の組み合わせがとても好き。
五百木 冬風 (いおぎ ふゆか)
年齢:22 / 性別:女 / 身長:157cm

未虎と話が合う客。樹威さんとナイトメアのRUKAさんがかつて活動していたバンド・Luinspearの音源が欲しいが、当然手に入らない。
喫茶店『緑飴』店内──。
フユカ「樹威(ジュイ)さんって良い歌声ですよねぇ」
ミトラ「あの歌声はホントに良いな。だからヴィドールも好きでよく聴いているんだ」
フユカ「アタシもヴィドール好きです。今のバンドであるGOTCHAROCK(ガチャロッカ)は聴いていますか?」
ミトラ「んー、これが実はしっかりと聴けていないんだ、すまない」
フユカ「あら、そうなんですね。サブスクそんなに入ってないみたいなので、今度アルバム貸しますよ」
ミトラ「それは嬉しいな! GOTCHAROCKAのメンバーは元Phantasmagoria、spiv statesのJUNさんとしゃるろっとの十夜さんとで結成したバンドだよな。というか、もう結成して10年以上経つのか」
フユカ「そっか! ヴィドールは2002年に結成して2011年に解散したから、活動年数は約9年……もうヴィドールの年数を超えたんですね」
ミトラ「というか、解散理由がなんか【変】じゃなかったか?」
フユカ「はい、【変なこと】が載ってますね」
ミトラ「あれは一体なんだったんだろうな。まあヴィドールの話は今度するとしよう」
フユカ「ということは、今回の話題はGOTCHAROCKAですか? でも未虎(みとら)さん、あまり聴いていないと言ってましたし……」
ミトラ「ということで、このアルバムを見てくれ!」
フユカ「これは、ヴィドール解散直後に出た樹威さんのソロアルバムですね!」
ミトラ「そうだ。それにしても解散発表からソロ作品の間までが短かったよな」
フユカ「あの解散騒動の直後ですからねぇ。というかソロ発表の時、樹威さんは【第二のGACKT】って言われてたのがよく分かりませんでしたね……」
ミトラ「あったな、そんな話。どの辺がGACKTさんなんだろうな。DuelJewelの隼人さんなら分かるのだが」
フユカ「作詞作曲が出来るからですかね? でも変な解散記事に載ってたからデタラメかも知れませんが」
ミトラ「あの記事に樹威さんが『GACKTさんになれるように頑張ります』みたいなコメント寄せていたが、恐らく本人言ってないよな?」
フユカ「言ってないでしょうね。あるいは言わされたのかな?」
ミトラ「そんな、■■■■■■ではあるまいし」
フユカ「あれは■■■が標的にされて、■■■が優遇されていて……」
ミトラ「話が逸れてきたな、戻すとしよう。ヴィドール解散からGOTCHAROCKA結成の間に樹威さんはソロ活動をしていたのだが、その時期に唯一出たアルバムだな」
フユカ「内容としては、後期ヴィドールっぽいですよね」
ミトラ「後期の音楽性にしっとりさを足した作品だろうか。元DELUHIのJuriさんのソロ作品みたいな、そこまで激しさは無い優しい音楽が集まってるな」
フユカ「ですね。ところで未虎さんはこの作品の読み方はご存じですか?」
ミトラ「最初は読めなかったな。一般的な読み方だと『イレブン』だが、この作品はドイツ数字の『エルフ』だよな?」
フユカ「流石ですね! ヴィジュアル系でたまにドイツ数字『アインス、ツヴァイ、ドライ、フィア』は出てくるので、知ってる人は多いかも知れませんね」
ミトラ「DIR EN GREYの"Schweinの椅子"やMEJIBRAYの"DIE KUSSE"にあるよな。では五百木(いおぎ)、タイトルが11である理由は分かるか?」
フユカ「樹威と11をかけたダジャレですね」
ミトラ「そうだ。あと、ブログに載ってるから隠してないと思うが、本名も11に近い名前だよな」
フユカ「ある意味セルフタイトルみたいなものですよね。久しぶりに聴きたくなりました、聴きましょうか!」
ミトラ「よし、では再生するぞ!」
招待状
フユカ「バラードかと思っていたら、最初のサビ後にアップテンポのロックチューンに変わるので、ビックリしますよね」
ミトラ「切なさ溢れる雰囲気だったが、ここまでテンポが変わると後ろ向きだった感情が前向きに変わったかのようだな。最後は冒頭と同じように儚げに歌い上げて終わるのだが」
フユカ「歌詞はかつて想いを寄せていた人が数年後に自身以外の人と結婚して、招待状が届くという、たまにある内容ですね」
ミトラ「時間の経過って恐ろしいものだよな。招待状が届くなんて経験はないが、実際届いたらそんな気持ちになるのだろうか」
イン ザ ブルースープ
フユカ「アップテンポでポップなメロディがとても良い……のですが……」
ミトラ「歌詞は暗いな。社会での生活に参って投身する内容だからな」
フユカ「でも主人公は投身する人ではなく、その人物の【涙】なんですよね。涙視点というのが不思議です」
ミトラ「昔、ヴィドールに"Tree"という曲があったが、あれは木視点だから、樹威さんが書く歌詞と思うと珍しくはないかもな」
フユカ「確かに! 木視点というとTHE SLAT BANKSの"SWEET SONG"はクリスマスツリー視点ですよね」
ミトラ「MUCCの"Marry You"はブーケトスの花束視点だから、意外とそういったテーマはあるものだな」
フユカ「そういう人物以外視点の曲、他にあるか気になってきました。ところで曲名が独特ですよね」
ミトラ「タイトルだけだと村上龍さんの『イン ザ・ミソスープ』のオマージュだろう。内容は関係ないが」
Bang girl
ミトラ「音楽ライブと情事をかけた内容だろうか、いかにも樹威さんが書きそうだよな」
フユカ「かなりアップテンポで、これはライブで盛り上がるでしょうね。でも、ソロを止めているからこの曲は二度とやらないんだろうなぁ」
ミトラ「Bメロのコーラスっぽいところはオイパンクっぽくしてもよかった気がするが。それでも弾ける感じの曲調は聴いていて元気になれるな」
未完成の楽譜
ミトラ「どこかセピアカラーの雰囲気漂うアダルティな曲調が心地良いな」
フユカ「歌詞はソロ活動の心境を書いているのでしょうか?」
ミトラ「そう考えると、GOTCHAROCKAをやっている樹威さん楽しそうだよな」
Eternity
ミトラ「ストリングスが綺麗なバラードだ、でも思ったほどスローではなくスッキリとしていて気持ち良く聴けるな」
フユカ「歌詞は先立った伴侶への思いをテーマにしており、Acid Black Cherryの"冬の幻"的なストーリーですね」
Amanda ~嘆きの後~
フユカ「タンゴをベースにした時代錯誤的なサウンドがとても良いですね」
ミトラ「後半は急に激しくなるな。そこだけcali≠gariの"君が咲く山"の間奏を思い出したぞ」
フユカ「でも曲自体はヴィジュアル系のサブカテゴリで云うところの、歌謡系を好んでいる人には刺さるのではないでしょうか」
ミトラ「歌詞の季節は冬で、架空の人物に想いを寄せすぎている人物の話だな」
フユカ「ん~、そういう人は結構居ますが、迷惑さえかけなければ悪い事じゃないですよね」
空という真実には呼吸と絶望、嘘という安堵と息苦しさは海の中
フユカ「この曲は通常盤だけに入っているボーナストラックですね」
ミトラ「タイトルの長さはヴィジュアル系っぽく感じるけど、曲調は不思議だ」
フユカ「逆再生が気持ちを不安にさせるますね……本当に息苦しさを感じると言いますか」
ミトラ「歌自体も逆再生で歌詞通りになるように歌っているな。水の音は心地良いのだが、後ろで戦乱を思わせる音も入っていて、そこでまた不安になるんだよな。生きづらい世界を歌詞だけではなく音でもしっかり作っている」
フユカ「これは"最大公約愛"の前に置いたのは正解ですね」
最大公約愛 (Album Ver.)
フユカ「先行配信されていた曲で、唯一MVが作られていましたね」
ミトラ「そのMVがインパクトあったよな。バックバンドがエア演奏してたから随分コミカルに感じたが、曲自体は勿論真剣だ」
フユカ「最大公約数とかけてるラブソングで、たしか最大公約数ってお互いの共通点を比喩的に表現する際にも用いていますよね?」
ミトラ「ほー、そうなのか。当初このタイトルを見た時、樹威さんは完全ラブソンガー宣言をしたのかと思ったぞ」
フユカ「後期ヴィドールよりも強くラブソンガーになる感じですか? "Blue Star"等は大好きですから、悪くはないのですが……と言うか、ラブソンガーという言葉は存在するんですかね……?」
-1
ミトラ「跳ねるようなドラムとシンセサイザーの音が気持ち良いな」
フユカ「ポップなロックですがテーマは冷めた恋愛で、歌詞を見た後にタイトルを見ると孤独になったと分かりますね。仮面夫婦もそんな感じなのでしょうか」
ミトラ「ほどほどの距離感が良いんだろうなあ、私は恋愛経験など無いから言える立場ではないのだが」
夢の無い詩
ミトラ「JOYSOUNDのボイスチェンジでテクノボイスに変えて歌いたい曲だな」
フユカ「アハハ、確かに分かりますけど」
ミトラ「とても勇気を貰える歌詞だ。ベタな内容かも知れないが、過度な励ましよりもこういった歌詞の方が元気になるな」
フユカ「ですね。背中を押し過ぎない歌詞がアタシにも効くなあ」
ミトラ「夢を持つのは良いことだが、それが重くなることもあるから、夢を捨てて身軽に過ごすのも良いかも知れないな」
I'll always be wiz u
フユカ「ピアノと歌だけで始まるのは1曲目の"招待状"と同じですが曲調は変わらず、温かなバラードに仕上がっていますね」
ミトラ「タイトルは『君のそばに居る』と言う、いかにもラブソング感が凄いのだが、どちらかと言うと『独りじゃない』という意味だな」
フユカ「前の曲に引き続き、勇気が貰えて本当に温かな気持ちになれますね。ラストに相応しく、アタシも前向いていきたいな、と思えました」
ミトラ「しかしアルバムのラストにこのタイトルというと、YELLOW FRIED CHICKENzの"NOT ALONE「キミは一人じゃない」"を思い出すな」
フユカ「YELLOW FRIED CHICKENzのボーカルってGACKTさんでしたっけ……あ、第二のGACKTってもしかして?!」
ミトラ「いや、これはたまたまだな」
ミトラ「ということで、樹威さんのソロアルバム『XI』を聴き終えたが、どうだったか?」
フユカ「色んなタイプの恋愛、孤独……様々なストーリーが描かれていて、最後には勇気が貰える良い作品でしたよ」
ミトラ「ヴィドール時代にもあるようなロック、ポップ、バラードがしっかりとパッケージされていて、キラーチューンを作り続けていた樹威さんの音楽を余すところなく楽しめるな」
フユカ「ソロ活動は短く、この後GOTCHAROCKAが始動しましたが、たまにはソロもやって欲しいなって思いましたよ」
ミトラ「未発表曲もあるみたいだから*1、まだまだソロ作品を出しながら並行して続けて欲しかったものだ。ところで、GOTCHAROCKAでも樹威さんは作曲は続けているのだろうか」
フユカ「それが、メインコンポーザーのバトンはJUNさんに渡していますね。樹威さんも作曲はしていますが、ヴィドールに比べるとかなり少なくなりました」
ミトラ「そうなんだな。改めて、GOTCHAROCKAの楽曲を聴いてみたくなってきたぞ」
フユカ「では今度持ってきますね! ヴィドールと音楽性は異なるので、そこだけお気をつけください」
ミトラ「そうか。樹威さんの『XI』、色々あった直後に出たソロアルバムとはいえ間違いなく名作だ。一緒に笑ってくれるし、寄り添ってくれる、そんな素敵な作品だから、是非聴いてみてほしいな」
GOTCHAROCKA 関連リンク
*1:昔、セットリストに"かみさまのいうとおり"という曲があったような記憶がある