登場人物
年齢:25 / 性別:女 / 身長:142cm

喫茶店『緑飴』の経営者。問題作と言われている『カルマ』にようやく慣れてきた。
喫茶店『緑飴』店内──。
ミトラ「商店街のイベントは明日だな。手伝いに行くから、今日は早いが店仕舞いにするか……おっと、CD整理中だったから収納しないと」
(トールケースの置き場を作ろうとしてたんだった。まあそんなに持っていないのだが……どれも最近聴いていないのばかりだな。ムックの「負ヲ讃エル謳(ふをたたえるうた)」初回盤なんて懐かしい。
この「負ヲ讃エル謳」は元々通常盤を持っていたんだが、ジャケットデザインもブックレット内もまぁまぁキツくて、手離して初回盤を買い直したんだよな。その初回盤もちょっとキツイんだが、通常盤ほどではない。
……まだ時間あるし、久しぶりに聴くか。通常盤と異なるのはデザインだけではなく、曲順が逆になっていることと、初回盤には"オルゴォル"のライブ版も入っている。で、トールケースなのもあって、初回盤はなかなか豪華なんだ)
(このシングルはアルバム『葬ラ謳』の先行シングルと思われるが、選ばれたのは"君に幸あれ"だけで、重苦しい曲が選出されたのもビックリだよな。とは言え、"友達(カレ)が死んだ日"は表題曲にするにはツラすぎる内容だし、"大嫌い"はインパクトが強すぎるから、結果的に"君に幸あれ"になったのだろうか。
それにしては、なぜ『カップリング・ワースト』では"君に幸あれ"が選出されたのか謎だ)
君に幸あれ
ミトラ「逹瑯さんが作詞した曲の中でも最も暗い歌詞ではないだろうか。歌詞の「 君 に 幸 あ れ 」はファンの感想やレビューを見ると『悪態ついているのに君に幸あれと言っているからツンデレだ』というのをよく見る。が、ここで言う「 君 に 幸 あ れ 」は恐らく『●んでくれ』の最大級として用いたと思われる。
逹瑯さんはこの歌詞について解釈は聴き手に任せているとの話だ。Aメロの音が奇怪で、歌詞もそれに合うような不気味さがある。そしてサビに入ると6/8拍子に切り替わり、もやは別曲になる。ミヤさんはこういう進行の曲を作ろうとして作曲したのか、あるいは別の曲を組み合わせたのか、後者の可能性があるが、それにしても陰鬱な曲だ」
友達(カレ)が死んだ日
ミトラ「初めてタイトルを見た時、こんなストレートな曲名が存在するものなのかと、衝撃だった。歌詞は唯一の友達が親からの虐待の末、この世を去ったことにより自分に出来る事はなかったのかと後悔する内容だ。作詞をしたのはミヤさんで、ミヤさんの書く歌詞に興味を持つキッカケになったのは間違いない。
私には昔から友達が居ない、ゆえにこの曲の悲しみを知ることが出来ないのが、自身が情けないと思うところ。でもこの曲は余りにもツラすぎて泣いてしまったという話を聞く。タイトルが強すぎるから人にあまり勧めることが出来ないのだが、過小評価されている曲のひとつだ。
曲は歌詞の重さと異なる、YUKKEさんのアップライトベースが映えるシャッフルナンバーで、その差がまた凄い。作曲を担当したのは『石岡の金角・銀角』と、クレジットが若干コミカルなんだよな。ちなみにその石岡の金角・銀角というのは茨城県石岡市出身のメンバーであるYUKKEさんとミヤさんのことで、"幸せの終着"の『石岡の金さん・銀さん』、"茫然自失"と"悲観主義者が笑う"の『石岡』も同様だな」
大嫌い
ミトラ「ミヤさんが作詞作曲した楽曲で、歌詞カードを見た時はビックリしたな。怨恨を撒き散らしたかのように『キライ』で埋め尽くされている。まあ歌唱は歌詞ほど『キライ』は言っていないが。そのインパクトさゆえに、アルバムに入っていないが代表的な一曲になっている。
スローな始まりから激しくなり、『キライ』を連呼する様は爽快感がある。『嫌いな人物に歌いたい』とはよく聞くが、嫌いな人の前で歌は歌いたくはないよな」
オルゴォル
ミトラ「原曲は『アンティーク』に収録された曲のライブ音源で、初回盤にしか収録されていない。ライブということで音の生々しさが良いな。
逹瑯さんのボーカルが終始吐き捨てる歌い方だが、『誰かこの声を消してよ』を叫んでいない。後半は煽りから演奏も次第に激しさを増していき、最後はフェードアウトというか若干手を加えて音を下げているな。
原曲は6分程度だが、こちらは冒頭のイントロに移行するまでの演奏も込みで収録されているので8分あるが、あまり長さを感じなかったな。
と言ったが私は『アンティーク』を持っておらず、後に出たコンピ盤『哀愁のアンティーク』で原曲を聴いたんだ。ちなみに歌詞表記の話だが、サビの『小さく』が抜け落ちている」
ミトラ(改めて、シングルとは言えかなりどす黒く濃密な作品だな。このシングルを持っていて良かったと思った。
そんな「負ヲ讃エル謳」だが、2017年に『新痛絶』『新葬ラ謳』が発表された際、このシングルは触れられないものかと思ったが、"友達(カレ)が死んだ日"のリテイク版が『新痛絶』の通常盤に収録されると分かった時は驚いたものだ。なぜ『新痛絶』なのか分からないが。
……しかし、実際に聴いて思ったのが、今のムックなら当時より重々しくやるものだと思ったら、あまり良いリテイクとは思えなかった。他の再録は良かったのに、どうしてだろうか。思い入れが強すぎるというのもあるかも知れないな。
"大嫌い"は2006年にシングル「流星」通常盤でリテイクした"大嫌い2006"をそのまま収録していて、全曲を録り直さなかったのも残念に思った記憶がある。『制作終了コメント』をリテイク*1したのなら、"オルゴォル"のライブ音源も入れても面白かったかもなと思ったが、あくまで『痛絶』と『葬ラ謳』だからな、それは別の話か。
では、CDの整理を再開するか。どこに直そうかな──)
商店街の人「未虎ちゃん? 未虎ちゃん居るー?」
ミトラ「あ、しまった! イベントの手伝いをするんだった。申し訳ない、片付けに時間がかかっていて」
商店街の人「アハハ、未虎ちゃん来なくて心配してたのよ~、まだ時間かかりそう?」
ミトラ「問題ないぞ、すぐ行くから待っていてくれ! ……さて、商店街の飾り付けをやるぞ!」
ムック 関連リンク
*1:会場限定盤の付録CDに収録されている