実際に散歩した内容をわざと写真なしで投稿する企画です。場所についてはGoogle Mapさんの地図を利用しています。
登場人物
年齢:25 / 性別:女 / 身長:142cm

喫茶店『緑飴』の経営者。門司港レトロで飲み歩きできる場所があるのか気になる。
五百木 冬風 (いおぎ ふゆか)
年齢:22 / 性別:女 / 身長:157cm

未虎と話が合う客。幼い頃にバナナのたたき売りを見て、正直怖いと思った。
小永光 蘭那 (こながみつ らんな)
年齢:24 / 性別:女 / 身長:152cm

雑貨店『すかーれっと』の経営者。焼きカレーは店によって味が違うのか気になる。
4月13日、11時30分。門司港駅──。
ミトラ「門司港駅にやってきたぞ!」
ランナ「そういや駅の中にスタバがあったわね。レトロな雰囲気の中に現代的なものがあるなんて不思議ね」
フユカ「確かに! それでも門司港レトロの雰囲気は癒されますよねぇ。さて未虎さん、今日来た理由は?」
ミトラ「門司港では定期的にイベントをやっているのだが、4月11日~13日の三日間、海辺のカモメ市が開催されているんだ。先日は天候が悪かったから、最終日である13日に来てみた次第だ」
ランナ「海辺のカモメ市……? それはフリーマーケット的な催しかしら?」
ミトラ「そうだ! この門司港レトロの雰囲気に合うように様々な雑貨店が出店するという、コンセプチュアルなイベントだな。小永光は雑貨店をやっているのだから、参考になるのではないか?」
ランナ「確かにそうね! そう考えると来て良かったわ」
フユカ「いやー、確かに素敵なイベントですから楽しみではあったのですが、ただ……ひとつ問題がありませんか?」
ミトラ「……とてつもない強風が吹き荒れているな」
ランナ「そうね、台風が接近しているんじゃないかってレベルの強い風ね。何だったら博多行きの電車は二時間遅れになっていたわよ」
フユカ「これ開催されているんですかね……? 調べてみたら強風のせいで10時半開催から11時半に変更になっていましたし、幾つかのお店が出店を取りやめていますよ」
ミトラ「これは不安になってきたな。とりあえず、中央広場に出向くとするか」
フユカ「いやいやいや! 風がヤバイですって! 前に進めないですよ!」
ランナ「沙魚川さん……飛ばされない?」
ミトラ「おいおい、私は小さいとは言え、そんなに身体軽くないぞ。後ろに倒れそうになったけどな」
フユカ「ということで中央広場に来ましたが、キッチンカーが複数台とお店が三つほどですね……ほとんどのお店が来ていませんよ」
ランナ「テントの骨組みは置いてあるけど、これは強風で取りやめた感じね」
ミトラ「なるほど……これはほぼ中止だな。では諦めて帰るとしようか」
ランナ「ねえ、せっかく来たんだから、門司港レトロを散策してみない?」
フユカ「あ、それ良いかも知れませんね! 強風であまり人も来ていないから、これを前向きに捉えて門司港を散歩しましょうよ」
ミトラ「確かに名案だな! では予定を変更するか!」
フユカ「くじらカツ、少し硬いですが美味しいですよ」
ミトラ「そうなのか。私と小永光は金賞コロッケを食べているが、これも美味しいぞ」
ランナ「五百木さんはしっかり両方食べているわね……」
フユカ「強風で人は少ないと言いましたが、焼きカレーのお店は変わらず行列ですね……」
ランナ「あら、食べてみたかったのに残念ね」
ミトラ「小永光は焼きカレー食べたことないのか?」
ランナ「そうね。美味しそうとは常に思っているのだけど、なかなか値段するから結局食べないままなの」
フユカ「並んででも食べた方が良いですよ。機会があれば是非食べに行きましょう! さて、まずはどこに行きましょうか」
ミトラ「そうだなー……旧門司税関で門司芸術祭美術展というのをやっているみたいだぞ。行ってみるか」
ランナ「入場無料なのね。行ってみましょうか」
ミトラ「入ったところに可愛らしい犬の着ぐるみが展示されていたな」
フユカ「どうやら税関のイメージキャラクターであるカスタム君だそうです。キュートな見た目と異なるガチッとした名前ですね」
ランナ「三階の展望室まで階段使ったけど、なかなか殺風景ねぇ」
フユカ「ですね。見晴らしは良いのですが、ここからでも外の強風が伝わりますよ……」
ミトラ「二階がギャラリーだな。様々な絵画が展示されていて、どれも個性があって良いものだな」
フユカ「ホントだ、素敵な絵が並んでいますよ。それと、別の部屋にある巨大な三葉虫みたいなものは何でしょうか……」
ランナ「五百木さんが三葉虫なんて言うから、ソレにしか見えなくなったじゃないの……」
ミトラ「説明が載っているな。これはてんとうむしのベンチという名称で、形状には理由があるみたいだぞ。チェリッシュの曲名みたいだな」
フユカ「それは"てんとう虫のサンバ"です。急にベタなボケを持ってきましたね……」
フユカ「ブルーウィングもじの前にやってきました。門司港の有名スポットのひとつで、恋人の聖地と云われているみたいです」
ランナ「あら、素敵ね。今は繋がっているけど、渡って良いのかしら?」
ミトラ「次に橋が開くのは13時だな。それまでに渡れば問題ないから、ここを使って関門海峡ミュージアムに行くとしようか」
フユカ「あー、あの場所ですか! 小学生の頃に社会科見学で行って以来じゃないですかね。以前は海峡ドラマシップって名前でしたっけ」
ランナ「あたしもうっすら覚えがあるわ、確かに久しぶりに行きたいわね。……道中に乗船場があるけど、こちらは何かしら」
フユカ「巌流島に行けるみたいですよ。あの宮本武蔵と佐々木小次郎でお馴染みの場所ですね」
ミトラ「行ってみても良かったのだが、強風で船が動いてない気がするな」
ランナ「海峡ミュージアムの近くに来たけど、このモニュメントは何かしら」
ミトラ「オリンピックの聖火リレー点火セレモニーに関するものらしいな。COVID-19の関係で残念ながら聖火リレーが出来なかったが、聖火ランナーが門司港に集ったらしいぞ」
フユカ「未虎さん、説明文を凝視しながら喋ってますね……ということで、海峡ミュージアムにやって来ました!」
ランナ「とても綺麗な見た目ね! 上の階は入館料がかかるみたいだけど、どうするの?」
ミトラ「勿論、海峡アトリウムを巡りたいから入場するぞ!」
フユカ「はい、当時は海峡ミュージアムがよく分かっていなかったから、大人になった今、楽しみたいですからね!」
ランナ「階段を上った先にあるのは海峡こども広場……アスレチック施設ね。楽しそうな声が聞こえてくるわ」
フユカ「未虎さんなら通して貰えそうですよね。アタシと蘭那さんが保護者役に徹するので行ってみますか?」
ミトラ「何で行かなくてはならんのだ、私は25歳だぞ」
ランナ「五百木さん……、沙魚川さんを子供扱いするのやめていただけるかしら……」
フユカ「えー、未虎さんがアスレチックではしゃぐ姿を見てみたかったのですが」
フユカ「エレベーターを使って四階にやって来ました。リカちゃん人形がキャプテンの姿になった展示物がお出迎えしてくださってます」
ミトラ「平成29年に開催されたしあわせのリカちゃん展で特別展示されたものだな!」
フユカ「また説明文を凝視してる……。芸能人の手形が置いてある静かな通路を通ると……あれ、カフェに来ましたよ。海峡アトリウムはどこでしょうか」
カフェ店員「ようこそ! アトリウム入場口はこちらの奥ですよ!」
ランナ「なるほど、このカフェを通り抜けて良いのね。というか、窓側がパノラマじゃないの! 絶景が見渡せるわ!」
ミトラ「ホントだな! 景色を見ながらカフェを楽しめるのは最高だな。名物は昭和レトロプリンとのことだが……なかなか値段するんだな」
フユカ「美味しいのは間違いないと思うのですが……。では、入場料500円を払って中に入りましょっか!」
受付「中に入るとゲーム等がございますが、こちらの入場チケットにあるQRコードを読み込ませてくださいね。次にアトリウムで放映されるものは『古今関門海峡絵巻』です」
ミトラ「ほう、なかなかアミューズメント要素があるみたいだな。これは楽しみだ」
フユカ「放映というのは気になりますね。四つあるうち、これから上映されるのは戦をテーマにしたものですが、アニメ制作会社の神風動画が制作しているみたいですよ。ポプテピピックで見たことある名前です」
ランナ「では早速入りましょ。……あら、こんなに真っ暗だったかしら?」
フユカ「あ、でも昔行った時もこんな感じだった気がします。そうだそうだ、暗い中に仄かな光がある螺旋状の道を降りていってました」
ミトラ「なかなか綺麗な場所で落ち着くな。道を下って行くと液晶画面があるな。『はっけん! お魚ずかん』……これがゲームだな、チケットのQRコードを読み込ませてみるか」
ランナ「読み取り成功と表示されたわよ。魚をタッチしてクイズに答えるみたいね。やってみましょう」
ミトラ「『スナメリをさがせ!』と出ているな。泳いでいる魚をタッチすれば良いわけだ。……なんだ、なかなか簡単ではないか」
フユカ「まあ、子供向けに作られていますからねぇ……」
ミトラ「……ん、レベル3になると難しくなって来たな。五百木、小永光、クロメジナはどこにいるんだ?!」
ランナ「え、えーっと、どこかしら……コレじゃないの? あ、不正解だった!」
ミトラ「あ、時間切れだ……16匹中12匹の発見だな。意外と良い結果ではないか?」
フユカ「少し白熱しちゃいましたね……あれ、こちらは違うゲームなんですね。『めざせ! 魚の漢字王』ですよ」
ミトラ「私は漢字には自信はあるぞ。漢字と読み仮名を組み合わせていけば良いんだな」
ランナ「あら、これは魚の見た目を見つけるより簡単ね。それよりもタツノオトシゴってウミウマって言うのね……」
フユカ「流石、自信があると言っただけに、全問パーフェクトでしたね。というか、クエって垢が穢(きたな)いと書いて『垢穢』なんですか……可哀想な表記ですね」
係員「放映まで時間がありますので、海峡歴史回廊を見ていかれませんか?」
ミトラ「お、それは良いな。行ってみるとしよう!」
フユカ「合戦の様子を人形で再現していますね。まるで動いているかのようにも感じれて、見入ってしまいます……」
ランナ「確かにただ作品を展示しているだけじゃないわね。凄絶な歴史がしっかりと伝わるわ」
ミトラ「なかなか面白かったな。もうすぐ上映が始まるから足早だったが、またじっくりと見たいものだ」
フユカ「そっか、もうすぐ始まりますね。その間は、先ほどの魚クイズは出来なくなります」
ランナ「確かあとひとつやってなかったゲームがあったわね。見終わったらそれもやりましょ」
ミトラ「おお……大画面で圧倒されるな。エピソード1は源義経たちが登場しているが、全員美形だな」
フユカ「驚くほどに顔が整ってますね……。エピソード2は巌流島ですね。先ほどと異なって、水墨画調のアニメーションに変わりましたよ」
ランナ「エピソード3は高杉晋作が登場するわ。こちらはLIVE 2Dっぽいアニメーションね」
ミトラ「エピソード4は歴史の偉人ではなく、門司港駅の発展や関門トンネルの歴史だな。フィナーレに相応しい壮大さが堪らないな。感動してしまったぞ」
フユカ「他の作品も気になりますが、次の上映は30分後……そこそこ時間があるので、次回にしましょうか」
ミトラ「そうだな。長く滞在するのも何だしな。では魚クイズの続きを……って、あれ!? 違うゲームに変わっているぞ」
ランナ「『壇ノ浦の戦い』ってことは、さっき上映された作品に関連するものに切り替わるのね。魚のゲームが出来ないのは残念だけど、こちらもやってみましょ」
ミトラ「だな。……えーっと、なるほど……」
フユカ「これはノベルゲーですね、ただ眺めるだけでした。歴史が好きな人には良いのではないでしょうか」
ミトラ「下まで降りてきたぞ。ここにあるのは『関門海峡フォトツアー』というゲームらしいが、今は他の客がやっているな」
フユカ「一回にかかる時間が8分ほどで、始めたばかりのようなので今回は諦めますか」
ミトラ「そうだな、次回行く口実ということにしよう。ここを抜けると海峡体験ゾーンだが、前篇はここまでにしておくか」
フユカ「えっ?! 門司港の散歩ってそんなにボリュームあるんですか! 大阪の旅みたいですね」
ミトラ「想像以上に楽しんでしまったからな。次回は海峡ミュージアムの続きから再開しよう」
ランナ「でも次回があるだなんて嬉しいわ。まだまだ楽しみましょう!」
次回
「バナナに関する気合いが凄まじいなぁ」
「その場でワン、ワン! って言って貰えますか?」
「おじさんの顔面を食べるって、躊躇うわよ……」
【後篇】に続く