実際に散歩した内容をわざと写真なしで投稿する企画です。場所についてはGoogle Mapさんの地図を利用しています。
登場人物
年齢:25 / 性別:女 / 身長:142cm

喫茶店『緑飴』の経営者。新幹線だと広島にすぐ到着することに気付いていなかった。
五百木 冬風 (いおぎ ふゆか)
年齢:22 / 性別:女 / 身長:157cm

未虎と話が合う客。旅行の楽しみのひとつは駅弁である。
小永光 蘭那 (こながみつ らんな)
年齢:24 / 性別:女 / 身長:152cm

雑貨店『すかーれっと』の経営者。広島に行く話があってから、旅行ガイドブックを読みまくったらしい。
9時。小倉駅──。
ミトラ「おー、小永光、おはよう!」
ランナ「おはよう、沙魚川さん。五百木さんは来ていないの?」
ミトラ「さっき連絡があったから、そろそろ来ると思うが」
フユカ「おはようございますー、間に合って良かったです」
ミトラ「新幹線は10時だから少し寝過ごしても問題なかったが、全員集合して安心したぞ」
フユカ「大阪旅行の時と違って快晴ということで、旅行日和ですよ!」
ランナ「そういえば二人は以前、大阪に行ったのよね。羨ましいわ」
ミトラ「大阪は全てを巡っていないから、またいつか行こうと思っている。その際は小永光も一緒に行くか!」
ランナ「そうね。その日を楽しみにしているわ!」
フユカ「さて、では未虎さん。アタシたちがこれから向かう場所について、改めてお伺いいたします」
ミトラ「今回は広島だ!」
フユカ「広島! 以前の大阪より近い場所ですが、一度も行ったことがない広島を旅行するということで、ワクワクしていましたよ!」
ランナ「広島は良いところって聞くわ。あたしも初めて行くからとても楽しみよ。広島ということは、やはり宮島にも行くのかしら?」
ミトラ「その予定だな。嚴島神社で参拝して、御朱印をいただく予定だ。五百木が教えてくれた通販サイトで御朱印帳を買ったぞ!」
フユカ「お、それは嬉しいですね。マスクメロン柄の御朱印帳とはまた個性的な……でも未虎さんらしいですよ。蘭那さんも買いましたよね?」
ランナ「そうね、あたしもちゃんと持ってきたわ。ところで、キャリーケースを転がしながら嚴島神社に入るのはご法度じゃない?」
ミトラ「あ……それは考えていなかったな」
フユカ「アタシたちが利用するホテルで荷物を預けることが出来るかも知れませんよ。確認してみましょうか?」
ランナ「そうね、駅にロッカーがあるけど有料だから、それが良いかも知れないわ。沙魚川さん、予約したホテルはどこかしら?」
ミトラ「じゃらんネットでホテルを吟味したのだが、今回は法華クラブ広島だ!」
フユカ「法華クラブ、なかなか評判が良いと聞きますよ! では早速電話してみますね~」
ランナ「広島駅から少し距離があるのね」
ミトラ「そうだな。大阪の時は新大阪駅からすぐのところだったが、広島は駅近くのホテルがよく聞く名前やハイクラスが多く、結果、法華クラブを選んだ次第だ」
ランナ「なるほどねぇ、とくに拘泥した点は?」
ミトラ「綺麗なホテルならそこまでこだわりはないのだが、朝食バイキングは旅の楽しみだと思っているんだ。特に五百木が『朝食バイキング!』と言うからな」
ランナ「五百木さん、そういうの好きそうだものね……でもホテルの朝食バイキングはあたしも楽しみよ!」
ミトラ「大阪の時は素晴らしかったから、今回も期待大だな」
フユカ「ありがとうございました、では後ほどよろしくお願いいたします~。……さて、確認が取れましたよ。フロントスタッフに声をかけたら荷物預かり可とのことです」
ミトラ「おお、それは良かった。事前にしっかり調べておくべきだったな」
ランナ「ま、ちょっと慌てちゃうのも旅の楽しみじゃない? 五百木さん、ありがとう」
フユカ「いえいえ、では早速新幹線乗り場に向かいましょう!」
ランナ「あたしたちが乗る新幹線は10時10分に来る新大阪行きの『みずほ604号』ね。13番乗り場に向かいましょ」
ミトラ「その前に朝食をいただこうと思っているんだ。だろ? 五百木」
フユカ「はい。駅弁ですね」
ランナ「確かに駅弁も旅行の醍醐味だから必要ね。それにしても駅弁売り場、ちょっと狭いのね」
フユカ「アハハ、小倉駅の駅弁屋さんはこんな感じですよ。……って、あれ? あまり置いてないのですが……」
ミトラ「ほとんどの弁当が『入荷待ち』になっていて、まったく置いていないな。朝早いからだろうか」
フユカ「ええー! 紐を引っ張ったら熱くなる和牛の弁当を食べる気満々でいたのに!」
ランナ「あら、妥協したくないところだけど……今回は仕方ないわね」
ミトラ「では、こちらの中津風唐揚げ弁当にするか」
ランナ「そうねぇ、あたしもそれにしようかしら」
フユカ「うう、ではアタシはノンアルコールビールも買うとします……」
ランナ「開幕早々やけ酒みたいなことしてるじゃないの……でも、ノンアルで良いの?」
フユカ「流石に引っかけた状態で嚴島神社に行くのは良くないですから」
ランナ「そこはしっかりしているのね……」
10時10分──。
フユカ「さ、新幹線が来ましたよ!」
ランナ「沙魚川さん、荷物棚届かないでしょ? あたしが乗せるわよ」
ミトラ「おお、助かるぞ。以前、五百木は私が荷物を乗せようと背伸びしている姿をニヤニヤして見ていたからな」
フユカ「あの姿、今回も見たかったなぁ」
ランナ「まったく、五百木さんは……。では、さっそく駅弁をいただきましょうか」
アナウンス「今日も新幹線のご利用、ありがとうございます。次は広島です」
フユカ「そうだ、大阪と違って広島は近いから、すぐに到着しますよ!」
ミトラ「まあ45分あるから焦らなくて良いと思うぞ。それにしても冷たい唐揚げ弁当は失敗したかも知れないな……」
ランナ「ええ、唐揚げは温めないと力を発揮しないわね……本当なら美味しいはずなのだけど」
フユカ「冷たくて美味しい唐揚げと言えば、努努鶏(ゆめゆめどり)だけですねぇ」
10時55分──。
ランナ「もう広島駅に到着するわね。荷物を下ろして、降りましょう」
ミトラ「よーし! 広島到着だ! お、早速海外観光客が居るな」
フユカ「大阪ほどではないですが、広島も海外観光客が多いと聞きますよ」
ランナ「広島駅、なかなか広いわね。ここだけでも楽しめそうよ。さて、ホテルはどうやって行くの?」
ミトラ「循環バスのエキまちループ右まわりに乗って、白神社前で降りるぞ」
フユカ「お、ちょうどバスが来ましたよ。早速乗車しましょうか!」
ミトラ「さ、白神社前に到着だ。ここから歩いて5分程度の距離らしい」
ランナ「なかなか近いのね。この細い道にホテルなんてあるのかしら?」
フユカ「……あ、ここですね、法華クラブ。通り過ぎてしまうところでした」
ランナ「内装がとても綺麗ね! ここは安心して泊まれそうだわ」
スタッフ「こちらの番号タグをチェックインの際にお渡しください!」
フユカ「ありがとうございます。……では、宮島に向かいますか」
ミトラ「循環バスに乗って、広島駅に戻ってきたぞ。山陽本線に乗って、宮島口駅に向かうとしよう」
ランナ「電車が来たわよ。……って、なかなかの人の多さね! 海外観光客でいっぱいよ」
フユカ「複雑なルートではなく、広島駅からすぐに行けるのは嬉しいですね」
約30分後──。
ミトラ「宮島口駅に到着だ。しかし、結構遠かったなぁ」
フユカ「すぐに行けるイメージがありましたが、9駅先だったんですね」
ランナ「ではフェリー乗り場に行きましょうか」
ミトラ「これから船に乗って宮島へ行くのか。船は初めてだから楽しみだ!」
フユカ「アタシたちも初めてだから、乗るの緊張しますね……って、切符売り場は長蛇の列じゃないですか!」」
係員「交通ICをお持ちの方はこちらの改札口ですぐ通れるので、ご利用くださーい」
ランナ「あら、交通ICがあれば並ばなくて良いみたいよ!」
ミトラ「おお、それは嬉しいな! では早速通るとするか」
フユカ「なんか行列をスルーして通過するの、申し訳ない気持ちになりますね……。それにしても、ライブ会場レベルの人の多さですよ! これ、船乗れますかね……」
ランナ「船が来たわよ。乗れなかったら次を待つしかないけど、意外と乗船できそうね!」
ミトラ「よーし、では出航だ!」
フユカ「アハハ、アタシたちは乗客ですよ」
ミトラ「船はゆっくり進むものかと思ったが、なかなかスピードがあるな!」
フユカ「ですね! 風が気持ちいいですよ!」
ランナ「天候も良くて海が綺麗で、最高じゃないの!」
ミトラ「ん? あの浮いているイカダみたいなのは何だ?」
フユカ「あれは牡蠣の養殖イカダです! 宮島と言えば牡蠣ですから、たくさん養殖イカダがありますよー!」
ランナ「へぇ、五百木さん詳しいわね」
フユカ「……たった今、Googleレンズを使って調べました」
ランナ「そ、そう……」
ミトラ「お! 嚴島神社の鳥居が見えてきたぞ!」
フユカ「おおー! 大鳥居ですね! 肉眼で見る事が出来て感動ですよ」
ランナ「ふふ、素敵な景色だけど、まだ感動するのが早いんじゃない? これから降り立つんだから」
フユカ「そうだ、これから行くんでした!」
約10分後──。
ミトラ「到着だー! どうやらゲートを出る際は交通ICを通さなくて良いみたいだな」
フユカ「下町の雰囲気があって、とても良いですね! 修学旅行生が来ていますが、恐らく修学はしていないでしょうねぇ」
ランナ「言わなくて良いのよ、そういうことは……。あたしたちだって修学旅行はひとつも修学していなかったんだから」
ミトラ「ハハハ、確かにそうだな! ……おお、鹿が居るぞ!」
フユカ「わあ、可愛いですね! 堂々と歩いているのが良いですねぇ」
ランナ「海外観光客の多さも凄いわ。と言うか……キャリーケース転がしている人居るわね」
フユカ「ホントだ! ご法度かと思っていたら、そんなことないのかも知れませんね」
ミトラ「……なんか見覚えのあるキャラクターが居ないか?」
フユカ「あれ、ちぃたん☆だ! ……確か秋葉原のキャラクターだったような」
ランナ「結構有名なゆるキャラよね。宮島で営業かしら」
ミトラ「では嚴島神社に向かうか! ルートは分からないが、海外観光客と修学旅行生の後ろを付いて行けば到着できるだろう」
フユカ「道なりに進んで行けば到着できますよ。……ほら、見てください! 大鳥居が見えてきましたよ!」
ミトラ「おおー! ようやく見る事が出来て感動だ! 大鳥居を見るだけでも来た甲斐があったぞ!」
ランナ「ええ、近くで見ると圧巻ね。特にこの崖みたいな箇所は撮影スポットになっているわ。……あれ? 大鳥居の近くに舟が来ているわね」
フユカ「あれはろかい舟と言って、満潮の時に大鳥居をくぐる遊覧船のようなものですね」
ランナ「へぇ、詳しいわ……って、それもGoogleレンズ?」
フユカ「いえ、こちらは検索しました」
ミトラ「あの舟が大鳥居をくぐるタイミングに見れたのは嬉しいものだな。でも乗ったほうがもっと楽しい経験が出来ただろうなぁ」
ランナ「そうね、乗船料は1,500円と少し高めだけど、滅多にない機会だから乗ってみたかったわね」
フユカ「ですねぇ。さて、300円をお支払いして入りましょうか!」
フユカ「では、まずは客(まろうど)神社で参拝します」
ランナ「参拝ルートがあるのよね。沙魚川さん、やり方は分かるかしら?」
ミトラ「私は子供じゃないから分かるぞー。賽銭を入れて二拝二拍手一拝だろ?」
フユカ「その通りです。きっちりやっていきましょう!」
ミトラ「ああ、そうだ。祓所(はらえど)の祓串で清めるから待っていてくれ」
フユカ「こちらは祓串を持って肩付近を祓うんですよね。アタシと蘭那さんも身を清めましょう」
ランナ「えぇ、こちらは大事だものね」
ミトラ「この回廊を歩くだけでも重みがあるな。雰囲気が違うと言うか」
ランナ「確かにそうね。海外観光客の方々も存じ上げているのか、静かに歩いているわ」
フユカ「続いては御本社で女神様に参拝しましょう」
ランナ「……あら、向こうに写真を撮っている方々がたくさん居るわね」
フユカ「火焼前(ひたさき)ですね! 海外観光客で溢れていますよ。フォトジェニックとしても有名だそうです」
ミトラ「では、御朱印をいただくとしよう。……って、御朱印待ちの行列がなかなか長いな」
ランナ「ホントね。でも御朱印はいただきたいから、並びましょ」
約20分後──。
ミトラ「人生初の御朱印だ! 美しさと力強さを感じて、とても良いものだな」
フユカ「確かに、御朱印を集めたくなる気持ちが分かりますね!」
ランナ「御朱印帳を事前に買っておいて本当に良かったわよ。しばらく見ていたくなるわ」
ミトラ「そうだ。おみくじを引かなくては! 100円を入れておみくじ箱を振り、出た番号の引き出しの中からくじを引いていくぞー。……この『平』って何だ?」
フユカ「平について調べたのですが……凄いという話もあれば普通という話もありますね。どうなんでしょうか。ちなみにアタシも平でした」
ミトラ「恐らく凄い結果ではないように見えるな……ネガティブなことが書かれているぞ」
ランナ「まぁまぁ、こちらの結果のような事態になる前に、自分で気を付けていけば良いのよ。あたしも平だったけど」
ミトラ「神社を出た先は、ふたたびノスタルジックな街並みが広がっているな」
フユカ「わ~、とても良い雰囲気! では……食べ歩きをしましょう!」
ランナ「そうね、五百木さんそわそわしているもの。話によると、揚げもみじ饅頭がオススメだそうよ」
ミトラ「それは私も気になるな。では今回は以上だ。次回は宮島表参道商店街を歩くとするか」
ランナ「まだまだやることたくさんあるものね、楽しみだわ」
フユカ「次回は色々食べていきたいですね!」
次回
「カキフライとクラフトビールで人間永久機関が完成するのではないか?」
「宮島の牡蠣……カキフライしか食べてないですよ!」
「五百木さん、オッケーしか言ってなかったわね」
②に続く